12/21/2010

優先順位の共有

20-23日の4日間有給を取ったため、一足早くクリスマス休暇の旅行を始めています。荷物が多くなり過ぎ後悔してます。肩凝る。さて、最近仕事で失敗したので、今回はその失敗と反省について。


ウチの町のクリスマスマーケット


まず概要をざっくり。失敗は、スーパーバイザーに自分のアイデアをアピールできずに悔しい思いをしたこと。反省としては、試してみたい実験を列挙し優先順位を付けてたリスト、をもっと頻繁にスーパーバイザーに見せておくべきだった。


失敗は二人いるスーパーバイザーとのディスカッション中に感じました。その例を二つ挙げて、説明に使っていきます。


まず、スーパーバイザーの一人から「あの実験もうやった?」と質問されました。その実験は一週間弱前に彼と立ち話したときに提案してもらっていました。が、ディスカッションの日までは他にしたい実験(僕の中で優先順位がより高い実験)をしており、提案された実験はしていませんでした。でもこれではスーパーバイザーから見れば、まるで実験をサボってるみたいです(実際はそこまで思ってないだろうけど僕の妄想はそこまで行く)。で、悔しい。


例二つ目。同じディスカッション中に、彼らからある実験を提案されました。しかし、それはすでに僕の「試してみたい実験リスト」に入っていました。スーパーバイザーからみたら、僕はその実験を思いつくことができなかったように見られる。ホントはすでに「試してみたい実験リスト」に載ってるのに、それを言い出すことも出来なかった。で、悔しい。


この例の補足。プレゼン練習の意味も含めてディスカッションの際にはプレゼンするようスーパーバイザーから言われているので、僕はスライドを用意し、その最後に今後の研究予定としてその時提案された実験を書いていました。しかし、興味を引く分析結果(XRD)が出てたことが原因で、プレゼンせぬままディスカッションがはじまってしまいました。というわけで、先にアイデアを言えなかったという事情がありました。


という二つの悔しさを強く感じたので、反省してみたところ、どうも「試してみたい実験リスト、優先順位付き」をスーパーバイザーにより頻繁に見せる(理想的にはスーパーバイザーと共有する)べきと思いあたりました。


一つ目の例について言えば、立ち話で提案された時すぐもしくはその日のうちに、彼の提案した実験が(僕の判断では)どれほどの優先順位にあるのかを話し、その順位が妥当か判断を仰ぐべきでした。僕の付けた順位が妥当な場合には、他の実験をしてて一週間後にまだ提案してくれた実験がなされてなくても理解を得られるでしょう。で、悔しくない。反対に僕の優先順位が妥当でない場合には、その実験の優先順位の高さを説明してもらい修正することによって、よりよい優先順位で研究が進められます。


二つ目の例については、ディスカッションよりも高い頻度で「試してみたい実験リスト」をスーパーバイザーに説明しておけば、僕がその時々で思いついている実験をスーパーバイザーから提案されることが避けられそうです。で、悔しくない。


というわけで解決法を見つけたので、実践しました。XRD(材料の分析法)では物質が特定できなかったので、他の分析法が必要でした。そこで、考えられる分析法を列挙して上司に相談しました。ウチの研究所にはそれらの分析器はない(けど近くの大学で借りれるかも)という結果でしたが、問題の解決に努めている姿勢は示すことができ満足できました。


そんなでした。かなり強く悔しいと感じたため、その日の就業時間のうちではどうして悔しかったのかを理解することさえできないほどでした。あと、失敗といっても、「悔しい」と思っただけのことなので、解決したところで(先の段落の最後で書いたように)結局自己満足でしかないんですけどね(笑)


以下他事。{僕の仕事って何?」問題です。一つ目の例の所で、スーパーバイザーの提案した実験に低い優先順位を付けるなんて、上司に反抗してるみたいでとんでもない、と感じられるかもと思いました。これに関連して今の仕事について考えてることとちょっとつながりを見出したので書いてみます。


僕の仕事は自分の研究について主体的に考えることだと思うようにしています。というのは、知識・経験の質・量では博士号持ち(プラスうちの研究所で勤務一年)のスーパーバイザー達に敵うわけがないわけで、インターン開始当初は自分の知識のなさを痛感し、僕はこの職場に貢献できるのか悩みました。そんな中、あるとき気付いたのは、僕の研究を自分の研究として主体的に考えることができるのは僕だけであり、スーパーバイザー達にはできないということです。彼らには彼ら自身の研究があり、時間や思考のリソースはそっちに使うはずですから。そんな経緯で、主体的に考えることが仕事であり、僕のできる貢献として捉えるようになりました。


そういうわけで、自分で優先順位を付けてみて、その順位が低くともスーパーバイザーに説明することは、僕の仕事の核心的な部分です。なぜなら、優先順位を付けるというタスクは、その時点までの実験結果と研究の落とし所と足りない実験結果を考慮する必要があり、それが総合的な判断なので時間をとって主体的に考えなくてはなりません。そういった負担を引き受けることが僕のできる貢献と考えています。他方で、立ち話の中で提案されたという例が示すように、実験の提案はそれほど思考・時間のリソースを割くことなくできます。言葉を選ばす言えば、彼らは思いつきで実験を提案してきます。もちろん、そんなことができる彼らの知識・経験の蓄積がすげー!のです。敵いません。


久々に説明的な文章が書けて満足です。
P.S.としての近況に替えて写真にリンク

12/15/2010

近況とちょい先の事

週二更新と息巻いていたけれど、二ヶ月くらい放置してしまった。一度習慣を失うと再開は難しいなぁ。それでは、この二カ月と、ちょい先のことを書いてみます。

まず、中間報告会の後にフランス語のクラスを上級から中級に引き下げました。上級はクラスメートが強烈で発言機会が得にくかったので。中級クラスでは扱う文法事項は簡単すぎるけど、おしゃべりに行く場としては素晴らしく機能しているので満足。

あとは、11月は連休がいくつかあったので、その内でロンドン4泊4日、アムステルダム2泊3日の旅行にそれぞれ行きました。ロンドンで印象に残ったのはホステルで一緒だったウルグアイ人二人組。ウルグアイの経済系や建築系の大学生は宝くじを売ってもうけて、その金に加えて、就職して数年の貯金で世界一周旅行に出かけるという習慣があると聞きました。彼らも経済系でそのクチでした。おもろー。

アムステルダムでは静物画のリアルさに感動しました。美術を理解できないコンプレックスがあるので、旅先で美術館があれば入ってしまうのですが、いつも頭の中はハテナマークでいっぱいです。でもアムステルダムの国立博物館で見た静物画の、特にマスカットの本物みたいな透明感に感動しました。写実主義はわかりやすくていいですね(笑)

先週末は7月まで通っていた語学学校に里帰りしてフランス語の試験を受けて来ました。インターンが始まってからフランス語を褒められ始めたことで、フランス語がアイデンティティー(のひとつ)として感じられるようになったことが動機だと思います。

テスト一週間前の土曜は図書館で勉強しました。小さい都市だからというのもあるんでしょうが、土曜にあいてる図書館がひとつしかなく、さらに16時で閉館。。。日本で通ってる大学の図書館の24時間オープンのありがたさ(いや、今は研究室があるから使わんけど)と、反面、その異常さに気付きました。聖ニコラ(サンタ的なもの)祭りが近かったので、図書館では読み聞かせのあと子供たちにニコラがお菓子をプレゼントしていました。

で先週末(金曜)が試験でした。読む聴く書く話すの四分野きっちり試験があるんですが、やはり「話す」が最低得点でした。各25点満点で、得点は24, 23, 17, 14.5(計50点あれば合格)。英語の試験と同じ傾向が出ました。もはや性格ですね(笑)。ちなみに分かる人向けに・・・DELFのB1でした。

試験後は旧ホストファミリーに行って夕飯をごちそうになりました。僕の好物(キッシュ)を覚えていて、それを用意してくれていました。感激!食前、ホストマザーお気に入りのテレビ番組を見ながら話し始めて、食後まで四時間も話しっぱなしでした。ホストマザーの人生訓は特に「他人との意見交換は大事」が胆のようです。65になっても頑固になったり守りに入ることなく、外国人を受け入れている姿勢は尊敬に値します。ま、そんなことより、とにかく幸せな4時間でした。

試験後の土日は帰り道の途中のパリにいました。二日ともルーブルに費やしました。前述の通りそんなに楽しめるわけではないですが、わからないうちは量を見ることに意味があったりしないかなぁと期待して見て回りました。情けないことに、ナポレオンの居室すげー豪華、が一番の感想です。

パリではブックオフにも行ってみました。日本語の本を求めて。2ユーロ均一のコーナーから三冊、中高生あたりの一時期はまってた群ようこの短編集と、下流社会と、大前研一の薄い新書。下流社会は調査・考察が粗めかな、と読みながら思ってましたが、アマゾンの書評がそんな批判だらけでびっくりしました。群ようこは面白い。気楽に読めてよい余暇になってます。

で、ちょい先のこと。クリスマス休暇はドイツのクリスマスマーケットを見て回って、プラハ、ウィーン、ブダペストと行って、リュブリャナでヴルカヌス同期と合流予定。10人くらいになるのかな。お世話になります。>あるぽん

今日とりあえず、20日のフランクフルト行きのチケットと、1月2日のリュブリャナから帰る夜行を予約してきました。その間はこれから組み立てます。ユーレイルパス15日を使ってみます。5万円強もして高いけど、その元を取ろうという貧乏性がうまくはたらいて、頑張って移動する動機になればいいなぁと期待してます(笑)。

そんなとこです。
仕事はうまくいっていません。(!)エジソンが言うところの「うまくいかない方法を発見する」日々です。日々突きつけられる自分の無力さは棚に上げて、研究所としても初めて挑戦する研究テーマやししゃーないわ、と割り切ることにしています。で、仕事で挙げられそうにない成果は、フランス語の試験で成果を挙げることで代えようかと。帰る直前に今度は一つ上のB2を受けられるか検討中です。そしたらまたホストマザーに会うのが楽しみ。