ウチの町のクリスマスマーケット |
まず概要をざっくり。失敗は、スーパーバイザーに自分のアイデアをアピールできずに悔しい思いをしたこと。反省としては、試してみたい実験を列挙し優先順位を付けてたリスト、をもっと頻繁にスーパーバイザーに見せておくべきだった。
失敗は二人いるスーパーバイザーとのディスカッション中に感じました。その例を二つ挙げて、説明に使っていきます。
まず、スーパーバイザーの一人から「あの実験もうやった?」と質問されました。その実験は一週間弱前に彼と立ち話したときに提案してもらっていました。が、ディスカッションの日までは他にしたい実験(僕の中で優先順位がより高い実験)をしており、提案された実験はしていませんでした。でもこれではスーパーバイザーから見れば、まるで実験をサボってるみたいです(実際はそこまで思ってないだろうけど僕の妄想はそこまで行く)。で、悔しい。
例二つ目。同じディスカッション中に、彼らからある実験を提案されました。しかし、それはすでに僕の「試してみたい実験リスト」に入っていました。スーパーバイザーからみたら、僕はその実験を思いつくことができなかったように見られる。ホントはすでに「試してみたい実験リスト」に載ってるのに、それを言い出すことも出来なかった。で、悔しい。
この例の補足。プレゼン練習の意味も含めてディスカッションの際にはプレゼンするようスーパーバイザーから言われているので、僕はスライドを用意し、その最後に今後の研究予定としてその時提案された実験を書いていました。しかし、興味を引く分析結果(XRD)が出てたことが原因で、プレゼンせぬままディスカッションがはじまってしまいました。というわけで、先にアイデアを言えなかったという事情がありました。
という二つの悔しさを強く感じたので、反省してみたところ、どうも「試してみたい実験リスト、優先順位付き」をスーパーバイザーにより頻繁に見せる(理想的にはスーパーバイザーと共有する)べきと思いあたりました。
一つ目の例について言えば、立ち話で提案された時すぐもしくはその日のうちに、彼の提案した実験が(僕の判断では)どれほどの優先順位にあるのかを話し、その順位が妥当か判断を仰ぐべきでした。僕の付けた順位が妥当な場合には、他の実験をしてて一週間後にまだ提案してくれた実験がなされてなくても理解を得られるでしょう。で、悔しくない。反対に僕の優先順位が妥当でない場合には、その実験の優先順位の高さを説明してもらい修正することによって、よりよい優先順位で研究が進められます。
二つ目の例については、ディスカッションよりも高い頻度で「試してみたい実験リスト」をスーパーバイザーに説明しておけば、僕がその時々で思いついている実験をスーパーバイザーから提案されることが避けられそうです。で、悔しくない。
というわけで解決法を見つけたので、実践しました。XRD(材料の分析法)では物質が特定できなかったので、他の分析法が必要でした。そこで、考えられる分析法を列挙して上司に相談しました。ウチの研究所にはそれらの分析器はない(けど近くの大学で借りれるかも)という結果でしたが、問題の解決に努めている姿勢は示すことができ満足できました。
そんなでした。かなり強く悔しいと感じたため、その日の就業時間のうちではどうして悔しかったのかを理解することさえできないほどでした。あと、失敗といっても、「悔しい」と思っただけのことなので、解決したところで(先の段落の最後で書いたように)結局自己満足でしかないんですけどね(笑)
以下他事。{僕の仕事って何?」問題です。一つ目の例の所で、スーパーバイザーの提案した実験に低い優先順位を付けるなんて、上司に反抗してるみたいでとんでもない、と感じられるかもと思いました。これに関連して今の仕事について考えてることとちょっとつながりを見出したので書いてみます。
僕の仕事は自分の研究について主体的に考えることだと思うようにしています。というのは、知識・経験の質・量では博士号持ち(プラスうちの研究所で勤務一年)のスーパーバイザー達に敵うわけがないわけで、インターン開始当初は自分の知識のなさを痛感し、僕はこの職場に貢献できるのか悩みました。そんな中、あるとき気付いたのは、僕の研究を自分の研究として主体的に考えることができるのは僕だけであり、スーパーバイザー達にはできないということです。彼らには彼ら自身の研究があり、時間や思考のリソースはそっちに使うはずですから。そんな経緯で、主体的に考えることが仕事であり、僕のできる貢献として捉えるようになりました。
そういうわけで、自分で優先順位を付けてみて、その順位が低くともスーパーバイザーに説明することは、僕の仕事の核心的な部分です。なぜなら、優先順位を付けるというタスクは、その時点までの実験結果と研究の落とし所と足りない実験結果を考慮する必要があり、それが総合的な判断なので時間をとって主体的に考えなくてはなりません。そういった負担を引き受けることが僕のできる貢献と考えています。他方で、立ち話の中で提案されたという例が示すように、実験の提案はそれほど思考・時間のリソースを割くことなくできます。言葉を選ばす言えば、彼らは思いつきで実験を提案してきます。もちろん、そんなことができる彼らの知識・経験の蓄積がすげー!のです。敵いません。
久々に説明的な文章が書けて満足です。
P.S.としての近況に替えて写真にリンク。